しろいひとは、いつもにこにこわらっている
しろいひとは、しろくてあまくてふわふわした“ましまろ”というものがすきだ
まっしろなおへやには、いろんなおはながおいてある
あか、あお、きいろ、むらさき、ぴんく、しろ
たくさんの、いろ
わたしはしろいひとにもらったまっしろなおようふくをきて、このまっしろなおへやで、しろいひととくらしている
でも、わたしは、“ましまろ”も、まっしろなおようふくも、まっしろなおへやも、あまりすきじゃない
「おいで、チャン」
“チャン”というのがわたしのなまえ、らしい
いつからここにいるのかはおぼえていない
どうしてここにいるのかもわからない
しろいひとは、いつもにこにこわらっている
しろいひとは、わたしをおひざにすわらせるのがすきだ
しろいひとは、よく、わたしのあたまをなでる
「おいで、」
しろいひとはときどきこわくて、(ほら、いまも)
だけどしろいひとはいつもやさしくて、(いつも、いつだって)
どっちがほんもののしろいひとなのか、わたしにはわからない(あたまのなか、ぐるぐる)
まっしろなおへやには、しろいひととはべつのしろいひとがやってくる
そのしろいひとは、しろいひとと、なにかむずかしいおはなしをして、おへやをでていく
しろいひとではなくて、くろいひとがくることもある
まぶしいしろじゃなくて、かげのくろ
はじめてくろいひとがきたとき、なんだかとてもなつかしいようなきがした
どうしてかはわからない
しろいひとと、くろいひとのおはなしがおわったあと、くろいひとについていこうとしたら、しろいひとはにこにこしたこわいかおで
「行っちゃ駄目だよ」
と、いった
つかまれたうでが、いたかった
しろいひとは、わたしにはわからないことをたくさんしっている
たぶん、わたしがここにくるまえのことも
しろいひと
(かれはものしり)
*120222
「特別に、おいしいましまろあげるね」